コルクボードの基礎
今日はScrivenerのコルクボードについて説明するね。
コルクボードはドキュメントをカードのように表示する仕組みだよ。
コルクボードを表示する
コルクボードに入るには、グループモードの真ん中のアイコンをクリックするか、⌘2を押すんだ。
バインダーがこういう構造だったとする。
そのとき、「コルクボード」の記事をコルクボードにしたときの表示はこうなるんだ。
コルクボードの下のフォルダやドキュメントが、カードみたいに表示されているね。
カードの左上に表示されているのは、カードの種類を示すアイコンだよ。
フォルダとドキュメントでアイコンがちがっているね。
アイコンの上でダブルクリックすると、そのドキュメントもしくはフォルダが開くよ。
数字はカードの順番。
その横がドキュメントまたはフォルダのタイトル。
下にはシノプシスが表示されるんだ。
カードが重なっているように表示されているのは、下に子供がいるドキュメントだよ。
あれ?
アイコンはドキュメントなのに、カードが重なっているように表示されているものがあるね。
ドキュメント=フォルダ
じつはScrivenerのフォルダは、外見が違うだけのドキュメントなんだ。
フォルダに文章を書くことができるし、ドキュメントの下にドキュメントを置くこともできる。
Scrivenerのフォルダはドキュメントで、ドキュメントはフォルダなんだよ。
まったく同じじゃなくて、ちょっと違うんだけどね。
これに関してはそのうち説明するね。
コルクボードのふたつのモード
グリッド
グリッドモードは、コルクボードのデフォルト。
編み目に沿ったように、一行ごとに決まった数のカードが表示されるモードだよ。
グリッドモードでカードをドラッグ&ドロップすると、ドキュメントの位置が即座に変更されるんだ。
フリーフォーム
フリーフォームは、編集画面の好きな場所にカードを設置できるモード。
グリッドからフリーフォームに表示を切り替えるには、フッタ右下に表示されているFreeform corkboard.
ボタンをクリックするんだ。
フリーフォームでは、ドラッグしたカードはドロップした場所に置かれる。
ただし、これはあくまで見かけだけのもの。
フリーフォームでカードを動かしただけでは、バインダー上の文書の順番は変化しないんだ。
上のアニメーションGIFを見て。
グリッドモードでカードを動かしたときは、バインダー上の文書の位置が移動しているけど、フリーフォームモードのときは動いていない。
グリッドモードに戻しても、カードの配置はモードを移行する前のままだね。
でも、フリーフォームモードでやったことが消えてしまったわけじゃない。
フリーフォームモードに戻せば、カードの位置はちゃんと記録されているんだ。
フリーフォームモードでは、⌘>と⌘<を使うことで、画面をズームイン・ズームアウトできる。
広い面積上にカードを配置できるよ。
フリーフォームモードで設置したカードの配置を確定させる
位置関係がバインダーに反映されないなら、フリーフォームにどんな意味があるのかって?
フリーフォームの位置関係をバインダーに反映する方法が、ちゃんと用意されているんだよ。
フッタ右下に表示されているCommit Order
ボタンを押すだけでいいんだ。
とちゅうで表示されるダイアログは、どういう順番で番号をふり直すかを尋ねている。
開始点を、上・左・下・右のどこにするか。
どの方向(右から左、上から下など)でカードをたどってゆくか。
上のアニメーションGIFでは、開始点を上にして、左から右へとカードをたどっているよ。
[OK]を押すと、フリーフォーム上のカードの位置が、ドキュメントの順番に反映される。
番号が即座にふり直されているのがわかるね。
グリッドモードに戻しても、文書の順番は反映されている。
コルクボードの利点と欠点
利点
コルクボードは、ある階層に存在するドキュメントを俯瞰で眺めるのに適している。
ドキュメントの順番を入れ替えるのも簡単だ。
ドキュメントの順番を大幅に入れ替えたい場合、フリーフォームで動かしておいて順番を確定させるのが、いちばん楽な方法のはずだよ。
欠点
ただし、欠点もある。
コルクボードは階層を扱うのが不得意なんだ。
コルクボードに表示できるのは、ある特定のレイヤのドキュメントだけ。
上の階層は表示されない。
上に階層があるかどうかすら、コルクボードの表示ではわからない。
下の階層については、カードが重なっているように表示されるから、存在することはわかる。
だけど、この階層と下の階層をいっしょに見るには、どうしたらいいんだろう?
アイコンをダブルクリックしても、表示されるのはドキュメントか、下の階層のコルクボードだけだ。
複数レイヤのカードを同時に表示する
Scrivenerは多機能なアプリなので、複数のレイヤのカードを同時に表示する方法がある。
ただし、コルクボードだけでは完結しない。
バインダーの助けを借りる必要があるんだ。
複数レイヤのカードを同時に表示するには、コルクボードを表示した状態で、⌘ (Command) キーを押しながら、子供をもっているドキュメントまたはフォルダをクリックする。
複数のドキュメントを選択すると、Scrivenerはドキュメントを一括表示するんだったよね。
じつは、コルクボードでも一括表示が可能なんだ!
スクリーンショットでは、Manuscriptフォルダのコルクボードの下に、Manuscriptフォルダに属するふたつのドキュメントの子ドキュメントが、カードのかたちで表示されているよ。
コルクボードをどう使うか
これはおにーさんの個人的な見解だけど、コルクボードがいちばんうまくはたらくのは、プロジェクトにまだレイヤが存在しないとき、つまり、プロジェクトを始めてすぐのときだと思う。
まだアイディアがまばらで、順番も固まりきっていないとき。
アイディアひとつを一枚のカードにして、シノプシスを書く。
シノプシスがカードに収まりきらないくらい長くなったら、カードを分割する。
カードを自由配置して、全体の構成を考える。
隙間が空きすぎている場所には、カードを足す。
カードが詰まりすぎている場所は、もしかしたら問題があるかもしれないと疑ってみる。
そして、だいたいの構造が固まったところで、ドキュメントの順番を確定させるんだ。
その後ドキュメントを階層化していくのだけど、階層化には、この後紹介するアウトライナーの方が適していると思う。
でも、べつに、こう使わなきゃいけないわけじゃない。
Scrivenerはユーザーに哲学を強制しないって、最初に言ったよね。
だから、あなたなりの、あなたが使いやすい使い方をしていいんだよ。
とくにフリーフォームは、いろいろな使い方ができると思う。
キャラクターの設定表を、敵と味方でグループわけしてみるとか。
場所の設定を、地図上に置くように設置してみるとか。
大切なのは、どのビューにも得意と不得意があるのを把握しておくこと。
それさえわかっておけば、どんな使い方をしても自由だよ。
ただ、いくらフリーフォームモードが自由といっても、カードとカードの間に線を引いたり、カードを丸で囲ったりはできないんだ。
そういうことがやりたいときは、Scrivenerを作った人たちが作った別のアプリ、Scappleを使うといいかもしれない。
Scrivenerとのコラボを念頭に作られたアプリだから、相性はばっちりだよ。
次回は、コルクボードの表示をカスタマイズする方法を説明するね。